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金沢には伝統文化や庶民文化に彩られた見どころや、食べ物処が多数ございます。

金沢の良さ、奥深さをお伝えするには金沢に根差したお店の紹介をかかすことができません。
お店別のご紹介ページにて旅のご参考にしてください。

お店の画像が掲載されているお店さんは散歩道スタッフオススメのお店です。
記念館/展示場

大樋焼本家十代長左衛門窯 大樋美術館


住所   金沢市橋場町2-17
電話番��� 076-221-2397
FAX番号 076-221-2123
開館時間 大樋美術館   9:00〜17:00
     大樋ギャラリー 9:00〜17:00
休館日  年中無休 (但し、展示会準備中は休館する事もございます)
入場料  一般    700円  団体(20名以上)600円 
     中学生以下 500円
駐車場  普通自動車 4台  
     バス    無



美術館紹介

ー伝統と現代に生きる大樋焼とその美意識の結集ー

大樋美術館は裏千家の始祖仙叟宗室居士と同道した初代長左衛門から現代まで。歴代の大樋焼と加賀金沢の茶道文化にふれる美術館です。
楽家から贈られた飴釉、仙叟好みの意匠、そして代々の創意が加えられた歴代の作品を中心に大樋焼330年の歳月と現在、そして新たなる伝統を重ねる姿を三つの展示室に展開している。
また併設する大樋ギャラリーでは、当館長である十代大樋長左衛門(文化功労者・日本芸術院会員・日展常務理事)と次代を担う長男年雄(ロチェスター工科大客員教授)の作品を展示・販売している。お茶席では大樋焼でお抹茶を飲むことも出来ます。



大樋焼本家歴代の作品ライブラリー
− 初代大樋長左衛門 −

大樋釉茶碗 銘「聖」
10,5cmW・9.9cmH

<作品解説>
初代長左衛門の作品の中でもとりわけ変化に富んだ姿の茶碗である。胴部の一方に弓形の大きな反りをつけ、見込は深く、一体に薄手に仕上げられている。胴部の三方や高台脇の二方につけられた櫛目状の荒々しい箆目や全面に薄く施された飴釉、畳付の細い小振りな高台など初代長左衛門の特色が随所に見られる。飴釉は一部に青味を帯び、胴の一方には黒色の窯変があらわれている。同じ手捻り成形であっても楽家とは異なった大樋焼独特の作風が示された一碗ということができる。笈の形に似て、口造りの一辺が突き出たところから俗称「おしゃべり」ともいう。300余年の歳月を経て飴釉もカセ、大侘び茶碗というにふさわしい風格を備えている。

<生没年>寛永8年〜正徳2年(1631〜1712)82歳
<出自>河内国土師村の人
<称号>土師長左衛門、後に大樋長左衛門、隠居名は芳土庵


− 二代大樋長左衛門 −

大樋釉茶碗 銘 金城霊沢
直斎箱(武者小路千家4代)
10.4cm×8.4cmH 

<作品解説>軽妙な作振りの茶碗。口辺りから裾にむかって広がり、削り出された高台の畳付は狭く、内に兜巾がみられる。胴には細かく縦箆がまわり、面取風な箆目もみられる。全体に赤味がかかった細い飴釉がかかっている。金沢の地名に由来する「金城霊沢」の銘がつけられている。箱蓋裏には武者小路千家4世直斎が「大樋焼 赤 宗守(花押)」と墨書している 


− 三代大樋長左衛門 −

大樋釉平茶碗 銘 夕陽
14,0×6,2cmH

<作品解説>三代作の平茶碗は、珍しいものである。カリッとした作行で平茶碗としての大きさ、釉調もよく、味わい深い作となっている。加えて在印も珍物中の佳碗としたい。

<生没年>享保13年〜享和2年(1728〜1802)75歳
<称号>初名は勘兵衛、後に長左衛門
<備考>八代藩主前田重熙、十代藩主前田重教、11代藩主前田治脩の御用達窯として勤める


− 四代大樋長左衛門 −

「大樋釉梅花紋茶碗」

歴代の中で初代に次ぐ名工とされる。五代が中興の祖とされるが、その下地となる蕾は四代でふくらみ、五代で開花したといえよう。経済・文化ともに恵まれる時代にさしかかろうとしていた頃、箱書や在印も俄然多くなる。茶道文化も一般に定着し、茶人からの要望があったということを、残されたいろいろな流派の箱書が示している。とりわけこのころ高岡で薮内流が特に盛んだったことがその中から窺い知れるものも興味深いことである。
 四代の作行に初代の復活を感じることができる。三代の影響が強く、その作風を受け継いでいるが、その中にも個性的な表現と多彩な技術によって品格ある作品を多く残した。また、これまで大樋焼の歴代が特徴とした飴釉とともに実に多くの色彩の表現を試みたのもこの四代長左衛門からで、たまに黒茶碗が出てくる。作品は幅広くバラエティに富み、82歳という長命もあって数が多い。技巧的な試みが必ず見られ、初代から四代にいたっての技術や伝統というものを強く確立させたといえるのではないだろうか。
 前田家に献上した大福茶碗もいくつか残っている。文政5年(1822年)には12代藩主斉広候の御用窯となって銀五百目を賜り、さらに同年12月、2人扶持を与えられた。文政7年(1824年)10月3日、67歳にて隠居を奉り土庵と号した。

<生没年>宝暦8年〜天保10年(1758〜1839)82歳
<称号>初名は勘兵衛、後に長左衛門、隠居名は土庵
<備考>12代藩主前田斉広候の御用窯


− 五代大樋長左衛門 −

大樋釉渦文茶碗 銘 にわたつみ
玄々斎箱(裏千家11世)
11,2×7,2cmH

<作品解説>口を内に抱え、胴を引き締めた茶碗。光沢の強い濃い飴釉が総体にかけられている。胴には大きくしのぎ文風の箆彫りがめぐり、下部にはやや深めに渦文が二つ彫られている。高台内には兜巾がはっきりとみられる。初代長左衛門とも共通した作行きを感じさせる茶碗である。裏千家11世玄々斎が「にハたつミ」と名付けているが、これは、箆目と渦文を雨水が地上にたまり流れ出す風情を連想したからであろう。

<生没年>寛政11年〜安政3年(1799〜1856) 58歳
<出自>4代長左衛門の子
<称号>初名は勘兵衛、後に長左衛門
<師事>4代長左衛門


ー 六代大樋長左衛門 ー

大樋黒釉筒茶碗
9,0×8,8cmH

作風は五代に似通っているが、全体に地味で穏やかな趣がある。通例の茶道具とともに、注文に応じて写し物や、食器も手掛けた。また、五代が白釉を使いこなしたのにならい、乾山風の鉢や高麗青磁写しの雲鶴筒水指なども作っている。五代長左衛門や六代長左衛門の頃は、目的や要求に応じて創意を実現させた時代であり、そのことは現代にも通じるといえよう。
 加賀藩の御用も多く、大福茶碗の献上の折には、その都度金150疋を賜わっている。さらに弘化4年(1847)に松の御殿焼物御用手伝い、嘉永元年(1848)に二の丸御次御用手伝い、翌年には二の丸御広敷御用手伝い、金谷御殿御次御用手伝いなどを勤めている。
 これまでの歴代は長命であったが、六代長左衛門は父である五代長左衛門の制作を手伝い、そして短命でありながら自らの作品を残し、1856年、28歳で没した。五代長左衛門の他界したわずか4ヶ月後であった。

<生没年>文政12年〜安政3年(1829〜1856)28歳
<出自>五代長左衛門の長男 7代道忠の兄
<称号>初名は朔太郎、後に長左衛門





− 七代大樋長左衛門 −

「大樋釉宝珠文茶碗」
9.2cm×9.8cmH

<作品解説>大樋焼歴代の作品の中で見込みの深い筒茶碗は比較的少ない。この茶碗は胴部の一方に宝珠文を白泥で描いており、きっかりと稜をつけた腰や胴部につけられた太い縦箆などに初代長左衛門造の筒茶碗「聖」に通じる作行が見られる。口部の内外に施された白釉は、青味を帯びて変化のある釉景色をつくっている。高台脇に7代の長方小判形の印が捺されている。

<生没年>天保5年〜明治27年(1834〜94) 61歳
<出自>5代長左衛門の三男 6代長左衛門の弟
<称号>初名は道忠 後に長左衛門
<師事>5代長左衛門、6代長左衛門


− 八代大樋長左衛門 −

「大樋黒釉桔梗文茶碗」
10.7cm・8.0cmH

 大樋焼というよりも楽家歴代の黒茶碗に近い姿で、全体にやや大振りである。見込みは広く、底に大きな茶溜りがもうけられている。胴の一方に桔梗の模様が大きく白抜きであらわされ、その部分には白釉が施されているが、他には光沢のある黒釉がたっぷりとかかっている。高台は低く、おとなしい。胴の一部には、挾跡が小さく残っている。                            
                         十代大樋長左衛門(年朗) 評

<生没年>嘉永4年〜昭和2年(1851〜1927)77歳
<出自>7代長左衛門の高弟
<称号>本名は奈良理吉、初名は大樋宗春、後に長左衛門。松涛の号を大徳寺松雲老師から受け、
    また裏千家十三世円能斎宗室家元より以玄斎の号を賜わる。
<師事>7代長左衛門 (茶)裏千家十三世円能斎宗室家元


− 九代大樋長左衛門 −

「大樋釉茶碗」

昭和2年八代歿後に九代長左衛門を襲名している。70数年にわたる陶芸活動は日本の政治、経済、文化の振興によって陶芸史上まれにみるよき時代であった。昭和11年大阪阪急百貨店にて茶碗12ヶ月展で注目され、京都の楽家に次いで茶陶の名工と称されるようになった。戦後は日本伝統工芸展に毎回茶碗を制作して入選を重ね、日本工芸会正会員としても、活躍する。大樋焼の伝統を茶陶の中に確立させ、暖簾を守り正直に人生そのものを作家として生きぬいた。裏千家より淡々斎茶道文化賞を受賞、昭和52年(1977)裏千家15世鵬雲斎御家元より陶土斎の号を贈られる。晩年は高台を土見せとした黒茶碗を主に手掛けながら、悠々自適の余生を過ごした。

<生没年>明治34年〜昭和61年(1901〜86) 86歳
<出自>8代長左衛門の長男
<称号>長左衛門、陶土斎の号は15世裏千家鵬雲斎宗室家元より賜わる
<師事>8代長左衛門


− 十代大樋長左衛門 −

大樋釉茶碗
12,6cmW・8,7mH


ー 大樋年雄 ー

大樋白釉窯変茶碗 
13,1cmW・7,5cmH


作家紹介  〜 陶 歴 〜
十代 大樋長左衛門(年朗)

文化功労者/日本芸術院会員/大樋焼本家十代

日展常務理事/現代工芸美術家協会理事長/
石川県美術文化協会理事長/ロチェスター工科大学名誉博士/
金沢学院大学美術文化学部学部長・教授/

1927年 大樋窯九代長左衛門の長男として生まれる
1949年 東京美術学校(現東京芸術大学)卒業
1958年 日本陶磁協会賞
1967年 日展審査員、以降七回就任
1968年 北国文化賞受賞
1976年 金沢文化賞受賞
1982年 第十四回日展文部大臣賞受賞
1984年 ボストン大学にて講演並び個展開催
1985年 日本芸術院賞受賞
1986年 中日文化賞受賞
1988年 石川県陶芸協会会長就任
1990年 金沢大学教授(教育学部美術部)
1995年 日本陶磁協会理事就任
1997年 石川県美術文化協会理事長就任
1997年 現代工芸美術家協会理事長就任
1997年 米国ロチェスター工科大学名誉博士号授与
1999年 日本芸術院会員就任
2000年 金沢学院大学美術文化学部長・教授就任
2004年 文化功労者の顕彰を受く


大樋年雄(おおひ としお)

ロチェスター工科大学客員教授/国際陶芸アカデミー(IAC)会員/東京芸術大学非常勤講師/金沢大学非常勤講師/日展会友/
日本現代工芸美術家協会本会員/日本工芸会正会員

1958年 十代大樋長左衛門の長男として金沢に生まれる
1984年 ボストン大学大学院終了
1997年 第53回現代美術展「美術文化大賞」受賞
1999年 第46回日本伝統工芸展入選(過去9回)
2000年 第39回日本現代工芸美術展「現代工芸賞」受賞     
    (2002年再受賞)
2002年 第34回日展「特選」受賞
2002年 第23回「金沢市文化活動賞」受賞
2004年 第43回日本現代工芸美術展「本会員賞」受賞



学芸員のインタビュー

大樋焼とは
大樋焼は、寛文6年(1666年)加賀藩の茶道奉行として裏千家四代、千宗室仙叟が五代藩主前田綱紀候の命により招かれた際、京都在住の楽一入の門人、土師長左衛門を金沢に同道した事より始まります。長左衛門は金沢東郊の大樋村に最良の土を見い出し、仙叟の好みの茶器を焼成、以来340年余、十代にわたる大樋焼の祖となりました。
 初代長左衛門は楽家の高弟ではあったが、前田家のお庭焼として、京都の楽焼とは異なった作風を展開しました。その作品は一見、稚拙に見えるものが多いのですが、荒々しさを残した雅趣に富んだ作風と言えるのではないでしょうか。釉薬を、以後大樋焼の大きな特徴となった飴釉を用い、加賀の茶陶として独自の道を切り開いていきました。以来大樋焼は、歴代が長左衛門を襲名し、様々な時代を生き抜いてきたのです。


当館の歴史
平成2年に大樋美術館は開館いたしました。
九代長左衛門、当代(十代)、年雄と3代で、歴代の作品と自分の作品そして金沢の茶道文化に触れる事が出来る美術館を持ちたいと考えたからです。
当館は、草月流家元勅使河原宏氏設計による前庭「風庭」と十代長左衛門作の陶壁が調和のとれた空間を創りだしていますので是非ご覧ください。
平成5年には、武家づくりの住まいで伝統的な趣のある建物と対比する形で現代的なギャラリーを併設しました。
こちらでは、十代長左衛門と年雄の作品を購入する事が出来ます。


おすすめ作品
この作品は、十代大樋長左衛門作で、「大樋釉鳥紋湯呑」です。
当代は、動物をモチーフにした作品を得意としており、この作品では鳥を描き、大樋焼の特徴である飴釉を施しております。
中に白く釉薬が施されているのは、お番茶の色が映えるようにと考えられているのですよ。
この作品は手のひらに入る大きさに出来ているので、女性の方から持ち
やすいと人気があります。 

続いて紹介する作品は、大樋年雄作「大樋釉掛分湯呑」です。
大樋焼の伝統の飴釉に黒色で掛分けしたものです。ひとつひとつ手造りですから、人の手の形にピッタリとおさまり当代の作品と同様、使いやすいと喜ばれております。

大樋釉鳥紋湯呑 大樋釉掛分湯呑



散歩道スタッフより
大樋焼本家十代長左衛門窯・大樋美術館では、大樋焼を使ってお抹茶を楽しむ事が出来る空間が用意されており、時間の都合さえあえば十代大樋長左衛門氏や長男年雄氏のお話を聞く事が出来ます。
この機会を逃さずに、作家に自分にあった作品を選んでもらってはいかがですか?また自分オリジナルの作品も注文する事が出来るのも楽しみのひとつではないでしょうか。
工芸工房が数多く存在する金沢でも、直接作家とお話を楽しみながら見学できるのはとても少ないので、きっといい旅の思い出になりますよ。